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リップル 吉川ヴァイスプレジデントに聞く!リップルと XRP が目指す未来

前回好評だったイーサリアム財団宮口さんへのインタビューに引き続き、今回はリップルの吉川さんにお話を伺いました。是非最後までご覧ください。

吉川絵美さんのプロフィール
Vice President, Corporate Strategy & Operation
サンフランシスコの Ripple 米国本社にて、全社的な戦略やビジネスオペレーション、ジョイントベンチャーパートナーシップ等を担当。それ以前は、MSCI 社で投資モデル開発、シリコンバレーのスタートアップ、クロスボーダー事業コンサルティング等を経て現職。ハーバードビジネススクール MBA、CFA 資格保有。サンフランシスコ・ベイエリア在住。
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ー始めにリップルについて教えてください。

リップルは 2012 年にサンフランシスコで創業したブロックチェーンテクノロジー企業です。フィンテック分野の連続起業家として実績のある Chris Larsen、暗号学分野のエキスパートである David Schwartz などが中心となって立ち上げられました。

当時は、いわば「ビットコイン 2.0」ブームの最中で、ビットコインから派生した新しいプロジェクトや、全く異なるアプローチの分散台帳技術を開発するプロジェクトが特にサンフランシスコを中心に出現していた時期でした。

リップルの創業チームは、「電力を大量に消費してしまうマイニング無しに、二重支払いの問題を解決する方法はないのか」「より効率的に、かつフレキシブルに、資産や通貨を交換できる仕組みは作れないだろうか」という問いからスタートして、技術開発を進めていきました。

その後、「価値のインターネットの実現」というビジョンのもとに、金融機関向けの国際送金ネットワーク(RippleNet)の開発に着手し、現在世界で 300 以上の金融機関に RippleNet を採用して頂いています。現在世界で 9 拠点、社員数は 500 名近くに達します。

ちなみに、創業当時の裏話をする Chris と David の間の談話ビデオ(日本語キャプションあり)は面白いのでぜひご覧下さい。リップルという社名は、2004 年に Ryan Fugger が起案した送金プロトコルに由来していますが、ripple.com のドメインは、実はアメリカの伝説的バンド The Grateful Dead のスーパーファンから取得した、なんていう裏話も話されています。The Grateful Dead の楽曲の中に Ripple という名前の曲があり、その名前のドメインをファンが持っていたんだそうです(笑)。

ーリップルのビジョンは何ですか?

リップルのビジョンは「価値のインターネットの実現」です。ここでいう「価値」とは、お金・通貨のみならず、価値を持つ資産であればなんでも当てはまります。インターネットが情報の交換を飛躍的に効率化したのと同様に、ブロックチェーン技術を活用して「価値の交換」を飛躍的に効率化させることがゴールです。

これはとても壮大なビジョンですが、まずは取り掛かりとして、金融機関の国際送金の問題に焦点を当てて取り組んでいます。それは国際送金が特に摩擦の多い分野だからです。

現在、世界平均で国際送金コストは 7% もかかると言われており、途上国ではそれが 20% 以上になる国もあります。金融包摂の観点からも送金コストの大幅な低減が必要とされています。

国際送金ソリューションがコア事業であるものの、一方で、XRP やインターレジャープロトコルを国際送金以外で活用するプロジェクトの支援や、開発者向けの開発ツールの提供などのエコシステム支援もしています。この取り組みは「RippleX」と呼ばれています。

また、エコシステム支援という観点からは、大学におけるブロックチェーン研究の支援も活発に行っており、日本では東京大学経済学部や京都大学総合生存学館における研究を支援しています。

ーリップルと XRP はどう異なるのですか?

リップルは上記の通り、国際送金の課題に対して金融機関向けのエンタープライズソリューションを提供する会社です。そのソリューションの中で、暗号資産 XRP をブリッジ資産として活用し、オンデマンド流動性(ODL)を提供しています。

XRP は XRP Ledger というパブリックなブロックチェーンにネイティブに存在する暗号資産です。ビットコインのように、パーミッションレスブロックチェーンとして、誰にも許可なく使える独立した暗号資産です。

リップルは創業当初から、XRP Ledger のオープンソース開発には積極的に関わってきており、また XRP Ledger が幅広いユーザーに使われるようにエコシステム支援にも取り組んできました。リップルは XRP を多く保有していることは事実ですが、その 90% はエスクローにロックアップされており、毎月決まった量の XRP にしかアクセスできないことになっています。

リリースされた XRP のうち一部は XRP Ledger のエコシステム支援やパートナーシップ開発などの活動のために使われ、残った XRP はまたエスクローに戻される仕組みになっています。リップルでは透明性を重視しており、毎四半期ごとに XRP Market Report を発行し XRP の売却や市場についてのコメンタリーなどを詳しくレポートしています。2020 年 Q2 のレポートはこちらからアクセスできます。

ービットコインと XRP にはどのような違いがあるのですか?

ビットコインと XRP は、パブリックでパーミッションレスという点では共通していますが、取引承認の仕組みやアプローチは異なります。ビットコインでは Proof of Work を基礎とした取引承認が行われるのに対して、XRP は独自の Consensus アルゴリズムに基づき、世界中に存在するバリデータがいわば多数決投票をして取引承認をする仕組みになっています。

XRP は決済が非常に速く(3 〜 4 秒おきに決済)、手数料が非常に低く、スケーラブル(1 秒に 1,500 件)と言った特徴を持っており、決済や送金の用途に非常に適したデジタル資産であると言えます。

Proof of Work と Consensus の違いについては、こちらのビデオで David が詳しく語っていますのでぜひご覧下さい。

XRP Ledger については公式ウェブサイトに詳細情報がありますので、こちらもぜひご覧下さい。特に、XRPL Explorer では XRP Ledger 上の取引承認の動きがリアルタイムに見ることができるので面白いですよ。こういうのを見ると、ブロックチェーンはまさに「生き物」なんだなと改めて感じます。

ー今最も力を入れていることを教えてください。

RippleNet については継続的なネットワークの拡大、そして特にオンデマンド流動性(ODL)の拡大です。ODL はすでにメキシコ、フィリピン、欧米などでローンチしていますが、新たな市場でローンチに向けて、現地の規制当局やパートナーと連携しています。

ー現在 XRP はどのフェーズにいるのでしょうか。

XRP Ledger は 2011 年に開発が着手され、2012 年にローンチしました。それ以降、毎 3 ~ 4 秒ごとにレジャー(台帳)が決済され、これまで 5,800 万以上ものレジャーが問題なく正常に決済されており、非常に安定した分散ネットワークとなっています。

XRP Ledger はオープンソースプロジェクトとして継続的に機能やパフォーマンス改善が行われています。最近、XRP Ledger v1.6 がリリースされましたが、この新バージョンでは、コンセンサスのメカニズムがより堅牢になり、またネットワークのステートについての鍵となるインサイトを提供します。
XRP Ledger では、新機能追加において Amendment と呼ばれる、バリデータの「投票プロセス」を経て、正式に追加される仕組みになっています。XRP Chat などのフォーラムで XRP Ledger の開発者や世界各地の技術者の間で活発な議論が行われていますので、技術に興味のある方はぜひ覗いてみて下さい。

ー今どのような形で XRP は活用されていますか?また、今後 XRP は私たちの生活にどのように関わってくるのでしょうか。

国際送金の分野では先ほど述べた ODL の中で、XRP がブリッジ通貨として使われています。従来は、金融機関が海外に送金する際には、現地にノストロ口座を開設して、そこに現地の通貨で準備資金の払い込み(プリファンディング)をしなければなりませんでしたが、ODL によってプリファンディング無しに、オンデマンドで流動性を確保することが可能になります。すでに、国際送金大手の MoneyGram や Azimo などの金融機関が活用しています。

さらに、先ほど触れた、エコシステム支援の取り組みの中で、新たな XRP のユースケースを開発する企業がいくつも出てきています。例えば、ウェブマネタイゼーションの問題に取り組む Coil は、ウェブサイトのストリーミングペイメントに XRP を活用しています。これまでウェブのマネタイゼーションというと広告や定期購読などの限られたオプションしかなく、それがいびつな業界構造を作っていました。暗号資産ベースのストリーミングペイメントを通して、Coil は新たなマネタイゼーションのオプションを提供しています。

その他には、Forte が XRP を活用したブロックチェーン基盤のゲーム経済圏を構築しています。これによって、ゲームのクリエイターとユーザー、そしてユーザーとユーザーの間の価値のやりとりがより自然に、かつ公平なものとなることを目指しています。

さらに将来的には、IOT やロボティクスが普及する中で、モノとモノの間、またはモノと人の間の決済でも XRP が使われるかもしれませんね。

日本でも開発者コミュニティの中から新たなユースケースが出てくることを期待しています!

ー貴重なお話をありがとうございました!


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