イーサリアム財団 宮口エグゼクティブディレクターに聞く!イーサリアムが持つ新たな可能性 ~イーサリアムはどう社会を変えるのか~〈前編〉
宮口さんのプロフィール
Ethereum Foundation(イーサリアム財団)エグゼクティブ・ディレクター。サンフランシスコで MBA を取得後、13 年同市にて仮想通貨取引所「Kraken」の立ち上げに参加。18 年 2 月に Ethereum Foundationのエグゼクティブ・ディレクターに就任。財団のトップとして、創設者ヴィタリック・ブテリンと共にイーサリアムの研究開発支援とオープンソースのコミュニティの発展に務める。19 年に World Economic Forum グローバルブロックチェーン理事、Ethereum Enterprise Alliance 理事就任。
ーまず早速ですが、イーサリアムについて教えてください。
イーサリアムはどんな分散型アプリケーション(英: Decentralized Applications、略称: dApps)でも構築できるプラットフォームです。他のブロックチェーンは 1 つの用途(例えば、ビットコインはお金として使うのが目的)を持っていますが、イーサリアムのブロックチェーンの特徴である「スマートコントラクト」は様々な用途で使うことができます。その上、ブロックチェーンの本来のメリットである強いセキュリティや改竄不可能性、高い透明性、一点に責任がいくことで発生する問題を防ぐなどを活かしながらプログラムすることができます。
ーイーサリアム財団とイーサリアムコミュニティの違いを教えてください。
イーサリアム創設者のヴィタリックがイーサリアム財団を作ったこともあって、イーサリアム財団がイーサリアムの研究開発全てを行っているというイメージをよく持たれるのですが、実はそうではありません。
イーサリアム財団の設立当初は、イーサリアムの研究開発に関わりたい人たちが財団に在籍していたので、イーサリアム財団のメンバー=オープンソースのコミュニティメンバーという構図でした。
オープンソースは誰でも参加できるので、だんだん参加するメンバーが増えてきており、今ではかなりの数の研究者や開発者がイーサリアムコミュニティに関わっています。
そんな中で、私はイーサリアム財団にしかできないことをしましょうと提案し、財団の役割がシフトしていきました。
財団では、コミュニティ内のコミュニケーションの仲介や開発者の育成や技術の教育、コミュニティが手付かずにしている課題への人員の配置、資金援助などを具体的に行っています。EIP(イーサリアム改善提案)に関する管理も、それらをコミュニティに丸投げすると、何も進まないのでそれの配分も考えています。さらに、開発者の中にはほぼフルタイムでイーサリアムの開発の仕事をしている人もたくさんいるので、彼らに助成金を出したりしてサポートしています。
今でも財団の中に研究者や開発者はいますが、イーサリアムコミュニティは研究者や開発者が集う大きなコミュニティとなっています。イーサリアムコミュニティの形はこれからも変わっていくと思います。
ーイーサリアムはどのようなビジョンを持っているのでしょうか。
イーサリアムのプラットフォーム自体は何にでも使えるインフラのようなものなので、世の中のいろいろな問題が解決できます。どんな問題を解決するかに関しては、それぞれのアプリケーション開発者のビジョンがあって良いと考えます。
大きな意味でのビジョンは分散型のアプリケーションによって、中央集権型のシステムが産んできた問題を解決することです。分散する意味がない用途においては普通のアプリを使った方が早いですね。
多くの開発者が分散型アプリケーションの意義に賛同してくれたということもあり、分散型のメリットを活かしましょうというビジョンで開発が進んでいます。
イーサリアム創設者のヴィタリックや私が個人的に、イーサリアムがどう使われたいかというと、ファイナンシャルインクルージョン(経済状況などに関わらず、誰もが金融サービスの恩恵を受けられるようにすること)に使われてほしいと思っています。どこか大きな組織が動かしているシステムには歪みがあるし、透明性もないので、それを解決するために使って欲しいというのはありますね。
ー通貨としてのイーサ(ETH)と、他の仮想通貨との違いを教えてください。
まずイーサリアムを通貨と呼んでいいのか分からないのですが、元々イーサリアムはトークンと言われていました。
トークンはプラットフォームを動かす燃料(ガス)を買うための通貨のようなもので、プラットフォームを回すという所に価値が見出されています。例えばビットコインになぜマイナーがいて、なぜプルーフ・オブ・ワークが成り立つかというと、クリプトエコノミクスとも言われますが経済的なインセンティブがあるからです。イーサに価値がないと分散型の機能が失われる可能性があるので、イーサに価値があることは大事ですが、イーサのトークン自体は元々は通貨としては作られませんでした。
ですが、今チャリティなどを目的とした寄付サイトでは、イーサリアムによる支払いの受付も増えてきていますし、まだまだいわゆる法定通貨に比べたらトランザクションが簡単で、コストが低いし、作る人と使う人の意図によりどんな使い方もできます。結論として、イーサは通貨であるかと聞かれたら、それにもなり得ますが、それ以外の可能性が 9 割以上あるという感じです。
ーヴィタリック氏がメディアインタビューで説明されていたように、イーサリアムはつまり分散型アプリケーションが作れる AppStore のような「プラットフォーム」ということですね。
そうとも言えますね。ただ AppStore はアップルがコントロールしていますから、アプリケーション自体が分散型だったとしても、誰が何を作れるかは中央集権的です。イーサリアムは誰にも所有されていないプラットフォームであるという部分は大きく違います。
ーそのアプリケーションの 1 つとして仮想通貨もある。それを可能にしているのがスマートコントラクトということですね。
はい、イーサリアムの利用例として、オリジナルの仮想通貨を作れる、というのもあります。今はイーサリアムを使ってステーブルコイン(価格変動の無い仮想通貨)などもできたりしています。いずれどこかの国の通貨になったりすることもあり得ると思いますね。
ーイーサリアムは今どのような開発フェーズなのでしょうか。
いわゆるプラットフォームが完全に使える状態にはすでになっています。しかし誰でもアプリケーションを作れるプラットフォームであることから、世界中の人が一気に使おうとすると処理が追いつかないので、一秒間の処理能力増やすために分散型を守りながらスケーラビリティを向上させるための改善が進んでいます。
スケーラビリティと同時に改善されているのが、プルーフオブワークからプルーフオブステークに変えることです。これは長期間大量の電力を使い続けることに対するサステナビリティの観点から行っています。プルーフオブワークはコンピューターに莫大な量の計算をさせないといけないことから、リソースの少ない途上国の参加は厳しくなってしまったので、シャーディング(処理能力の向上を目的とした技術)というものをスケーラビリティの改善と合わせて進めています。それがフェーズに分かれて発表されています。プルーフオブステークへの転換に関してはまだフェーズ 0 の段階です。
ーイーサリアムの課題を教えてください。
一番の課題はスケーラビリティですね。分散型を無視すればスケーラビリティはただちに手に入りますが、イーサリアムの1番の特徴である分散型を維持する=誰でもノードになれるというパブリックなブロックチェーンであることを維持する必要があります。
完全にパブリックで誰でもノードになれる、というのを保つからこそ分散型の意味があるのですが、ノードの数が数万に上ってくると、それら全てに確認をとらなとらなくてはならず、トランザクションの速さを維持するのはものすごく難しいことです。その難しい問題を解決するために世界中のトップの研究者と開発者が一緒に頑張っていて、解決策が見えてきたのが去年くらいですかね。その解決策をシステムに反映させることに関して、オープンソースでやるので簡単ではないですが、オープンソースであることと分散型であることを妥協せずにスケールアップするのが今後の課題と考えています。
後編につづく
アカウントの作成はこちらから。ログインはこちらから。
注意事項(よくお読みください)
●暗号資産は法定通貨ではありません。インターネット上でやりとりされる電子データです。特定の者によりその価値を保証されているものではありません。また、暗号資産は、必ずしも裏付けとなる資産を持つものではありません。
●販売所取引は、実質的に手数料を含んだ購入・売却価格をお客様に提示しております。そのため、暗号資産の売付けの価格と買付けの価格とに差が発生します。
●暗号資産交換取引及び暗号資産関連店頭デリバティブ取引(以下、併せて「暗号資産関連取引」といいます。)をご利用に際してお支払いただく手数料、その他費用、計算方法等は「手数料一覧」に定める通りです。
暗号資産関連店頭デリバティブ取引手数料は無料ですが、ロールオーバー(同一営業日中に反対売買されなかった建玉を翌営業日に繰り越すこと)により、スワップポイントの支払いが発生します。また、Lightning FXでは、Lightning FX 取引価格と Lightning 現物(BTC/JPY)取引価格が 5% 以上乖離している場合、約定ごとにLightning FX SFD (Swap For Difference)と呼ばれる費用または報酬が発生します。
手数料一覧:https://bitflyer.com/ja-jp/Commission
●暗号資産関連店頭デリバティブ取引を行うには、証拠金の差し入れが必要です。必要となる証拠金の額は、実際のお取引の額に証拠金率を乗じて算出される額になります。
証拠金率:25%(レバレッジ 4 倍の場合)~ 100%(レバレッジ 1 倍の場合)
●暗号資産関連取引は、元本を保証するものでなく、取引対象である暗号資産等の価格変動により損失が生じることがあります。暗号資産の価格は、需給バランスの変化や、物価、法定通貨、他の市場の動向、天災地変、戦争、政変、法令・規制の変更、暗号資産に係る状況の変化、その他の予期せぬ事象や特殊な事象等による影響により、急激に変動、下落する可能性があり、価格がゼロとなる可能性があります。
●暗号資産関連店頭デリバティブ取引は、取引金額がその取引についてお客様が預入れる証拠金の額と比して大きいため、その損失の額が預入証拠金の額を上回ることがあります。
また、値動きの状況によって注文が約定しない場合や意図した取引ができない可能性又は意図しない取引が成立する可能性があります。
●電子認証に用いられる秘密鍵もしくはパスワードを失った場合、保有する暗号資産に一切アクセスできなくなり、その価値を失う可能性があります。また、これらが第三者に悪用された場合、お客様に損失が生じる可能性があります。
●暗号資産は電子的に記録され、その移転はネットワーク上で行われます。暗号資産関連取引は十分な取引確認(ブロックチェーンにおける取引の認証)が取れるまで一定時間保留状態が続きます。また、移転の過程で重大な問題が発生した場合、暗号資産が消失する恐れがあります。そのほか、サイバー攻撃等により暗号資産が消失したり、価値が減少するリスクがあります。
●当社またはお客様ご自身の通信・システム機器の故障、通信障害等その他の原因により、電子取引システムを利用できない状況が起こる可能性があり、処理の遅延や、注文の発注、執行および取消し等が行えない可能性があります。また、システムメンテナンス等の実施中は、暗号資産関連取引およびこれに付随する依頼の受託を行うことができませんが、その間に市場価格が大きく変動するリスクがあります。
●暗号資産関連取引を開始する場合や継続して行う場合には、「契約締結前交付書面」等をご確認いただき、取引の仕組みやリスクについて十分にご理解いただき、お客様の資力、取引経験及び取引目的に照らして適切であると判断する場合にのみ、自己の責任においてお取引いただくようお願いいたします。
●暗号資産は、代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、また不特定の者を相手方として購入および売却を行うことができます。なお、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使用することができます。
●外部環境の変化等によって当社の事業が継続できなくなるリスクがあります。万が一、当社が事業を継続できなくなった場合は、お客様の資産への対応を含め、倒産法や会社法、会社更生法、民事再生法等に基づく手続きが行われます。当社は、お預りするお客様の金銭および暗号資産を、当社固有の資産と区分し、分別管理を行っております。
株式会社 bitFlyer
暗号資産交換業者登録 関東財務局長 第00003号
令和元年法律第28号附則第10条第1項に基づくみなし金融商品取引業者(第一種金融商品取引業)
加入協会:一般社団法人 日本暗号資産取引業協会
・認定資金決済事業者協会所属
・認定金融商品取引業協会所属