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ビットコインへの投資は個人から機関投資家の時代へ 2020 年 11 月マーケットレポート

2020 年 8 月にナスダック上場のマイクロストラテジーがビットコインを購入したことから、市場を取り巻く状況は大きく変化してきたように感じます。

11 月 3 日には、4 年に一度のビッグイベントである米国大統領選挙を迎える中、世界的な金融緩和により株高が継続。未だ収束が見えない新型コロナの脅威を抱えたまま冬を迎えることになりそうですが、今後の先行きはどうなるのでしょうか。

2013 年から暗号通貨の動向を追っている個人投資家の児山 将氏に、マーケット動向を解説いただきました。

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ビットコイン 150 万円をトライする動きに

筆者のビットコインに対する見方は強気です。その主な理由として、企業を含む機関投資家によるビットコインへの投資が大幅に進んでいる点が挙げられます。

2019 年前半の相場低迷期でも、機関投資家の暗号資産(暗号資産)市場への参入は進んでおり、バックト・ウェアハウスによると、これまでに 70 を超える機関投資家が利用しているとのことです。

2020 年に入ると、長期投資が前提となる暗号資産ファンドのグレイスケールの保有資産が急拡大。2019 年 5 月に 21 億米ドル(約 2,180 億円)だった運用資産は、2020 年 9 月末には 70 億米ドル(約 7,280 億円)と、3 倍以上増加しています。

一般企業によるビットコイン投資が目立つようになり、8 月と 9 月にマイクロストラテジーが 4 億 2,500 万米ドル(約 442 億円)規模のビットコインを購入。その後は、決済送金サービスを提供するスクエアが 5,300 万米ドル(約 55 億円)分、次いでストーン・リッジホールディングスグループが、1 億米ドル(約 104 億円)を超える規模のビットコインを購入したことが分かっています。

ストーンリッジは資産運用会社ですが、マイクロストラテジーとスクエアは投資が本業ではありません。通常、上場企業であれば自己資金を設備投資に回すか、配当金や自社株買いに充てる等が考えられます。しかしながら、それをせずにビットコインへ投資を行うということは極めて異例だと考えられます。

なお、4 億 2,500 万米ドル(約 442 億円)ものビットコインを購入し注目を集めたマイクロストラテジーの株価は、購入以降上昇しています。現在ビットコインの購入を検討している企業にとって後押しとなるでしょう。

マイクロストラテジーの株価

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出典:TradingView 期間:2020 年 2 月 14 日~ 2020 年 10 月 17 日

ヘッジファンド業界で著名なポール・チューダー・ジョーンズ氏は、およそ 1 億米ドル(約 104 億円)規模のビットコインを保有しているとみられています。同氏は 10 月 22 日に米 CNBC に出演。ビットコインの上昇はまだ初期段階で、アップルやグーグルへの投資に似ているとコメントしました。

ビットコインへ投資する共通目的として、インフレヘッジを挙げており、マイクロストラテジー CEO ミカエル・セイラ―氏は、インフレにより自社資産が減少していくことが脅威に感じたと語っています。

ペイパルが暗号資産業界へ参入するインパクト

米電子決済大手のペイパルは、10 月 21 日にビットコインやイーサリアムなど 4 種類の暗号資産の取扱いを開始すると発表しました。

ペイパルの利用者は 3 億 4,600 万件、加盟店は 2,400 万(2020 年 10 月現在)を擁する決済サービスで、世界中のモバイル決済のシェアでペイパルがクレジットカードを上回っています。

ペイパルはステーブルコイン発行企業のパクソスと共同で事業参入。ビットコインのセキュリティに提供があるビットゴーなどの暗号資産関連事業を行う企業買収を模索しているとも報じられており、その本気度が高いことが分かります。

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出典:海外販売に役立てよう!越境 EC における海外モバイルコマース事情


水面下で進む機関投資家の参入

これまでのビットコイン取引は圧倒的に個人が主導する時代でしたが、いよいよ変わろうとしています。

10 月 22 日、シカゴ・マーカンタイル取引所(略称:CME)のビットコイン先物の未決済建玉は約 830 億円を超えてきました。これは、デリバティブ取引所大手の約 1,000 億円に次ぐ大きな規模です。

4 月には、750 億米ドルもの運用資産を持つ世界 2 位のヘッジファンドであるルネッサンステクノロジーがビットコイン先物市場への参入を検討していると報じられました。

また、暗号資産の機関投資家サービスを提供する米シルバーゲート銀行によると、2020 年の第 3 四半期に、5 億 8,600 万米ドル(約 560 億円)相当もの暗号資産の預入があったそうです。

なお、6 月 30 日時点での預かり資産は 15 億米ドル(約 1,560 億円)相当であったことから、この四半期で 30% 以上も預かり資産が増加したことになります。

ビットコインが最高値を記録した 2017 年第 4 四半期は 8 億 3,500 万米ドルであったことから、機関投資家レベルではピーク時を越えていることが分かります。

ビットコインのアクティブアドレス数も安定的に 100 万を越えてきており、資金流入を見ると 2019 年の高値である 150 万円を越える材料は揃っていると感じられます。

ビットコインのアクティブアドレス数の推移

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出典:Glassnode 期間:2017 年 10 月 29 日~ 2020 年 9 月 29 日


ビットコイン価格 100 万円以上の期間が過去最長に

ビットコインの地合いが好転していることが分かる指標として、過去との価格比較があります。重要な節目として捉えられているビットコイン価格は、日本では 100 万円。グローバルでは 1 万米ドルです。このふたつの価格帯を上回って推移している期間が、過去最長となりました。

【ビットコイン価格が 100 万円を上回った期間】
2017 - 2018 年:10 週間
2018 年:4 週間
2019 年:3 カ月間(6 月 20 日 ~ 9 月 23 日)
2020 年:3 カ月間(7 月 22 日 ~ 継続中)
※終値ベース

1 万米ドル以上の滞在時間は 2019 年が 29 日、2020 年は 7 月 26 日以降 2 カ月以上となっています。この過去にはない滞在時間の長さは、地合いの良さを表していると考えられます。

ビットコイン価格の上値目標は 150 万円

大枠として、15 万円ごとのステージで推移しているビットコインですが、130 万円の節目を突破したため、次の目標価格は 145 万円、そして 150 万円が意識されます。

ビットコイン 12 時間足チャート

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出典:bitFlyer Lightning 期間:2020 年 7 月 22 日 ~ 10 月 27 日

この価格帯は 2017 年にピークを付けた後の節目でもあったため、グローバルでも注目されているでしょう。この付近に残っているポジションはほとんどないと思われますが、心理的にも 145 万円 ~ 150 万円は一度は利益確定が入るポイントではないでしょうか。

仮に突破した場合の値動きを、同じ節目の価格動向を振り返っておきましょう。100 万円や 1 万米ドルは意識されいるようで、意外にもちょうど止まることはありません。今年 6 月と 7 月の値動きを見ても、節目を挟んだ値動きとなることが多々あります。

そのため、トレーディングの注意点としては、150 万円を突破した際に飛びついて買うと、上髭になる可能性があることを覚えておきたいところです。

米国大統領選挙とビットコイン

暗号資産が本格的に盛り上がってから、初めて米国大統領選挙を迎えることとなります。このイベントにおける中心は米国株式市場であるため、ビットコインはわきに置かれる展開となると考えられます。

ただ、今年の米国株、特に NYダウとビットコインの相関性を見ると、過去よりも高くなってきています。そのため、ざっくりと「米国株高=ビットコイン上昇」と捉えることができます。

ビットコインと NYダウ先物の推移

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出所:TradingView 期間:2020 年 2 月 19 日 ~ 2020 年 10 月 27 日

現状、バイデン氏の有利の報道がなされていますが、2016 年の選挙をみても当日にならない限り分かりません。

なお、1984 年以降、大統領選挙の結果を 100% 当ててきたアノマリーは、8 月半ばからの S&P500 の動向です。

上昇 → 現職(トランプ大統領)の勝利
下落 → 野党(バイデン候補)の勝利

現状、S&P500 は上昇しているため、このアノマリー通りにいけばトランプ大統領の勝利となりそうです。

選挙結果に関係なく米国株は上昇へ

筆者はどちらの候補が当選しても、米国株は上昇すると考えています。これには、主に財政出動と住宅市場の好転が挙げられます。

大規模な財政出動
バイデン氏は法人税増税を掲げていますが、同時に民主党は 2.2 兆米ドル規模ともされる財政出動を行うとされています。大規模な財政出動は、新型コロナの経済状態を緩和し、給付金が支給されれば、再び暗号資産市場に流入する可能性も高いでしょう。仮にトランプ氏が勝利した場合にも、現在議論される 1.6 兆円を超える規模の財政出動が行われる可能性は極めて高いでしょう。

また、上下両院で多数党が異なる米国議会のねじれがそのままの場合、法人税増税は阻止されます。仮にねじれ状態が解消されれば、安定した政治運営が行われることになり、どちらにしても経済にはプラスになると考えられます。

好調な住宅市場
米国では、大規模な金融緩和により住宅市場に追い風が吹いています。新築住宅販売件数と、中古住宅販売件数を見ると、落ち込んだ期間はわずか数か月。その後は、劇的な販売数を記録しています。

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出典:みんなのFX 

なお、アトランタ連銀が公表している GDP Now によると、次の第 3 四半期の米国 GDP 成長率は 35.2%(10 月 20 日時点)になるとされています。

GDP Now

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出典:https://www.frbatlanta.org/-/media/documents/cqer/researchcq/gdpnow/RealGDPTrackingSlides.pdf

新型コロナ不況の落ち込みからの回復があるとはいえ、この数値はポジティブに捉えることができるのではないでしょうか。

まとめ

ここ数カ月で、ビットコイン市況は大きく変わりました。機関投資家の参入に、法人向けデリバティブ取引所の規模拡大、売買代金が低下しても売られることも少なくなりました。

着実に、人々や企業の関心がビットコインに集まっていることを感じます。

これまで、米国株が強い動きとなっている時は、ビットコインの上昇は鈍いことも多々ありました。そして、株価の上昇が一服すると循環物色のようにビットコインが上昇。株価が下落する際には、ビットコインも連動して下がるという動きが見られました。

しかし、マイクロストラテジーやスクエアの株価を見ると、ビットコインが株高を牽引するようになってきています。

仮に、大統領選挙後に米国株が上昇したときにビットコインもつれ高となるのかどうか。資産価値としての真価が問われる時がきたのではないでしょうか。

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児山 将(個人投資家)
投資歴 12 年。2009 年から FX をはじめ、株式、CFD などの金融商品を取引。2015 年から仮想通貨への投資を始め、2017 年にはメディアの立ち上げも行う。2018 年以降は主にビットコインのレバレッジ取引に注力。投資判断は、投資家動向などの需給バランスとファンダメンタルズ分析を主としています。
2018 年からフリーランスとなり、午前中は株式投資。午後は FX、仮想通貨を見ながらコンテンツマーケティングを行っています。



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