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新型コロナウイルスが仮想通貨市場に与える影響

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、3 月中旬にビットコインを含む仮想通貨市場が大幅下落しました。新型コロナウイルスが仮想通貨市場にどのような影響を与えるかについては誰もが気になるところではないでしょうか。

そこで今回は、株式会社クリプタクトの斎藤様に「新型コロナウイルスが仮想通貨市場に与える影響」について寄稿いただきました。

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はじめまして、株式会社クリプタクトの斎藤です。この度、bitFlyerさんのnoteに寄稿させていただくことになりました。テーマはずばり、「新型コロナウイルスが仮想通貨市場に与える影響」です。

足元様々な意味で新型コロナウイルスの動向は誰もが気になることかと思います。そのなかで、経済的な側面からのお話、そして仮想通貨への影響など考えることができればと思います。こちらのブログは、私自身が 2 月 29 日にnoteにて公開した記事をベースにしております。ただ、それから時間の経過とともに状況も変わってきているので、その辺りをさらに追記して執筆しました。


コロナ不況とリーマンショックの違い

さて、まず足元誰もが感じているコロナ不況について考えてみたいと思います。よくリーマンショックと例えられているかと思いますよね。そこで、今起きていることとリーマンショックの比較や違いについて解説したいと思います。

結論からいうと、今足元起きているコロナ不況とリーマンショックは全く違うタイプの不況ではあります。端的に言えば、不況と債務危機の違いでもあり、もちろん不況、つまりこのコロナ不況が続くことで債務危機が誘発され結果的にリーマンショックのような事態になることはありますが、最初から債務危機としてはじまったリーマンショックとは異なります。

まず景気というのは、①生産性と②レバレッジ(信用/借入)の増減で決まります。つまり不況になるとは、生産性の低下や低成長とレバレッジの減退を意味します。
中長期では生産性の要素が大きくなる一方、信用創造の高度に発達した国では、短期的には(場合によっては(中長期でも)レバレッジの減退による影響が圧倒的に大きいです。

今回のコロナ騒動、珍しく①が全てです。厳密には生産性が徐々に低下してきたのではなく、そもそもわざと停止させたことで生じています。生産性の変動や成長率は普通狙ってできるものではありません。しかし、ある意味唯一できるコントロールが生産活動の停止です。スイッチのオンとオフ、をイメージしていただければと思います。

現時点で起きていることは、コロナの実害で自然に不況になっている、ではなく、スイッチオフにすることで自らそこに持っていっている途中であり、そのうち「必ず自己実現できる」タイプの不況です。逆にスイッチオンにすれば元に戻れる、という話でもあります。

一方、レバレッジの減退による不況は全く違います。レバレッジはシクリカルなので減退が始まればすぐに回復しません。金融危機クラスの長期シクリカルの場合、不況とかそういう次元ではなく、もはやどう着地させるかで物々交換になるかならないか決まるくらいの話です。

これがリーマンショックでした。あの時はクレジット市場(信用/借入市場)も暴落し、むしろクレジットこそ売られました。ちなみに今回は、3 月 2 週目あたりから、クレジットも売られ値段が下がり始めています。ただし、約定して値段がついて、その結果下がっていることは、実はまだ幸せな状態であり、そもそも債務危機では売りたくても売れない、値段がつかなくて現金化できない、という事態となります。

株式市場よりはるかに巨大なクレジット市場。それが崩壊していたリーマンショックと比較して、金融危機という意味では足元のコロナ騒動は、まだ感覚丸二個くらい影響が違います。しかし、経済活動停止がこの金融危機を誘発する可能性があるので、そうなるとリーマンショックと同等かそれ以上のインパクトになりますし、それが見えているからこそ各国政府や中央銀行は対策を行っています。

今回、生産活動のスイッチを自らオフにした先進国は、最初は日本くらいですが、他の先進国も 3 月に入り続いております。このオフが続けばレバレッジ減退を必ず招くでしょう。さていつまでオフにし続けられるか。リーマンショックの時は、当初モラルハザードを主張し毅然とした態度をとっていた米国政府は、耐えられず 2 週間で救済決定しました。

今回のコロナ不況は、スイッチオンにすれば、レバレッジの話と異なり、急な回復も見込めるという、珍しいタイプの不況です。とはいえ、長引けば失うものも雪だるま式に増えますし、そもそもコロナが終息するか否か、その時期によっては先にレバレッジ減退を招き、本格的な不況、つまり債務危機に陥る可能性があります。この辺りのタイムリミットまでにコロナが収束できるか否かが経済全体としては分かれ目になろうかと考えております。

そのため、各国政府は今経済対策と金融政策を連携してできることをやろうとしています。この究極の目的は、債務危機が訪れる時期を少しでも遅らせることにあります。

ただ簡単ではないのが、経済対策を打つにしても、そもそも生産活動を停止してたらその効果も結局薄くて、救済策のような出血しているところにとりあえずバンドエイドを貼る、というような政策が中心にならざるを得ないです。

もちろん資金が無限にあればなんでもやればいいのですが、費用対効果の面で通常の経済対策に比べると苦しくなるのは間違いないと思います。とはいえ、債務危機が訪れる時期を少しでもずらすというメリットはあるので、やるしかないということでしょう。

そして金融政策はさらにやっかいで、債務危機が訪れる前になんでもやるというのはコンセプトとしてはいいのですが、本当に債務危機がきたらそのときこそ金融政策が重要になるので、あまり今のうちに弾を打ち尽くすと、あとで大変なことになりかねません。

そこで、経済対策も金融政策も実弾と口先をうまく使い分けしながら、やってくしかないと思います。アナウンス効果含めて、発表はすれど実行には時間かける、というような使い分けも出てくると思います。

結局のところ債務危機が起きる時期というのは、多分に人々の不安などに絡んでくるため、不安を取り払うことを目的とすれば、結果としての実行は後ずれしても必ずやるコミットだけ見せておくのも 1 つの手なのかと思います。


危機時における仮想通貨

これまで、債務危機や足元起きていることについて話ましたが、その上で仮想通貨にはどのような影響があり得るのか考えてみました。

仮想通貨、特にビットコインはデジタルゴールドと呼ばれたりすることもあります。この背景は、以下の 2 点が主な理由であるかと思います。

①発行枚数が決められていて、かつ特定の事業、組織、団体に関係していないこと
②実体経済との結びつきが大きくないこと

前者は、まさに金のようなイメージですよね。金に上限があるわけではないものの、採掘量が毎年多いわけでもなく、また無限にある資源でもありません。まさに希少性ですね。ビットコインは発行枚数に上限があり、またその発行スケジュールが定められているので、金のように価値の希薄化が招きにくいと考えられています。

さらに、金もそうですが、ビットコインも特定の政府や企業、あるいは集団に紐づいた資産ではありません。文字通り分散型通貨であるゆえんですが、その価値自体がこういった特定の誰かによって成り立っているわけではないでしょう。

こういった性質の資産は、戦争であったり、昨今の疾病であったり、何らかの危機において安全資産として位置付けられやすい特徴を兼ね備えています。なぜなら、国同士が戦争すると国自体が消滅するかもしれないリスクを感じますが、例え国が消滅しても残るものとして、金のようなものが考えられるからです。

一方で、②についてはどうでしょう。経済的な事情からくる危機についても、その経済との結びつきの薄い資産というものは一般的にその危機に対して耐性が強いと考えられます。ビットコインについても、現状では実体経済に深く結びついているとはまだ言い難く、それが本来的に評価できる話かどうかはともかくとして、このような危機においても関係性が薄いため比較的危機に強い可能性があります。

危機に強い理由が経済との関係が薄いから、というとやや皮肉めいて聞こえるかもしれませんが、これは立派な特徴の 1 つです。


仮想通貨市場に与えるコロナ不況

前述の通り、様々な危機時においてビットコインが買われるシナリオは十分考えられるものです。一方で、私の個人的な意見となりますが、本当に力強く買われる局面として想定されるような危機とは、例えば戦争であったり、あるいは経済的な危機といっても、リーマンショックのような現金が蒸発していくタイプの究極的な危機かと思います。
現状のコロナ不況は、まさにこのリーマンショックのような債務危機の手前にあるとは考えられますが、現時点ではそうなることが確定したわけでもなく、危機からの逃避先としてはやや方向感に欠ける動きになるのかなと考えています。

そうなって欲しくはないのですが、コロナがもっと流行して経済だけでなく社会的にも世界的に危機に陥ることが見えてくると、ビットコインの相場は強く買われる可能性はあると思いますし、またそういった意味での一種のヘッジとして買われていく局面はあるかと思います。

なお中長期的な視点に立つと、現在行われつつある債務危機に陥らないための大規模な経済対策や金融政策の結果、国家財政のさらなる負担が予想され、これらがビットコインへの需要、あるいはビットコインを買う動機として宣伝される可能性はあると思います。こういった動きは価格という意味ではプラスに影響を及ぼす可能性はあるでしょう。

ただし、各国政府がコロナ対策のために外出禁止をはじめ、様々な生産活動縮小に向けた政策を行っております。これらが、例えばマイニングのハッシュパワーの減退を招くなど、ビットコインの本質的な部分でマイナスを及ぼす可能性もあるため、この辺りは注視しておくべきかと思います。


斎藤 岳:
2007 年 4 月 ゴールドマン・サックス証券入社。自己勘定投資チームである戦略投資部にて、不良債権投資、プライベートエクイティ投資、不動産投資から船舶投資まで様々な投資に携わり、法的整理含めた事業再生の案件も手掛ける。
2010 年 5 月 ゴールドマン・サックス・インベストメント・パートナーズへ異動。資産総額 8,000 億円を超えるグローバルヘッジファンドに参加し、ヘッジファンドマネージャーとして株、債券、為替、金利、CDS、デリバティブ、ローンなどへ最大800億のポートフォリオの投資・運用を行う。
2019 年 2 月 株式会社クリプタクト代表取締役 Co-CEO 就任


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