ビットコインはデジタルゴールドなのか? 〜通貨よりもゴールド(金)に近いと言われる理由〜
ビットコインは通貨よりコモディティに似ている
ビットコインはデジタルゴールドと呼ばれることがあります。
実際のところは仮想通貨*1と呼ばれてきたビットコインは通貨よりも、ゴールド(金)などコモディティとしての性質が強い側面があります。
これは、ゴールドや銀、米などと同様に、ビットコインは特定の組織が発行する証券性をもつアセットとは性質が違うからです。加えて国家が発行するドルや円などの通貨は、経済状況にあわせた金融政策も行われていますが、ビットコインに金融政策はなく、通貨とも異なります。
その中で、なぜビットコインは特にゴールドと似ていて、デジタルゴールドと呼ばれるのか、本コラムで解説します。
*1補足: 2019 年 3 月 15 日に暗号資産に関する法改正が閣議決定され、今まで「仮想通貨」と呼ばれていた名称が「暗号資産」へと変更され、2020 年 5 月 1 日以降は、正式名称は仮想通貨ではなく暗号資産となりました。
ゴールドとビットコインの共通点とは
ビットコインとゴールドの共通点は主に以下の通りです。
1. 希少価値がある
ゴールドもビットコインも埋蔵量に限りがあります。
ゴールドは世界中で採掘済みのものを全てかき集めても長さ 50 m のプール 2 杯分ほどで、まだ鉱山に埋まっていると想定されるゴールドの量を合わせても、プール 4 杯分程度だろうと言われています。
ビットコインも総発行数は 2100 万枚と決まっており、2100 万枚目の ビットコイン がマイニングされたあとに新しいビットコインが発行されることがないようにプログラムされています。
2.偽造できない
ゴールドは人工的につくることが出来ず、偽物も出回ってはいますが本物であるかは確認ができます。
同じようにビットコインも複製することは出来ません。仮に偽造を試みてもブロックチェーンの情報から偽物であることが知られてしまうため不可能です。また、似たようなコインをアルトコインとしては作ることはできても、それをビットコインだと言って誰かに売ろうとすればすぐにばれてしまいます。
3.分割できる
ゴールドは、大きな塊でも少量に分割されてもゴールドとしての価値があります。ビットコインも小数点以下 8 桁(0.00000001 BTC)まで分割でき、ビットコインとしての価値は変わりません。また、両方とも分割して価値の交換に使うことが可能です。
4.採掘にコストがかかる
ゴールドの採掘にはコストがかかります。それと同様にビットコインも PoW (プルーフ・オブ・ワーク)というアルゴリズムにより電気代と設備投資コストをかけて採掘をしなければ新しく発行されるビットコインを手に入れることはできません。コストをかけずに、ゴールドもビットコインも手に入れることが出来ないのです。
5.劣化しない、耐久性がある
もちろん価格の変動はありますが、保管していて腐ってしまったり、劣化したりすることがありません。 1 .の希少価値がある点に加えて劣化の心配がないため、ゴールドもビットコインも価値の貯蔵手段として有効です。
ビットコインとゴールドの異なる点
共通点を整理したところで、ビットコインがゴールドと異なる点も整理してみましょう。
1. ゴールドは装飾品としても使われる
ゴールドにはその物質としての美しさや輝きからジュエリーなどの装飾品としても昔から利用されてきました。ビットコインは資産としての価値はありますが、ゴールドのように美術工芸品や装飾品としての価値は持ち合わせていません。
2.コピーのしやすさ
ゴールドはコピーして人工的につくることができません、やろうとしてもコストがかかりすぎるため非常に困難です。一方、ビットコインはコードが公開されており、ビットコイン自体を偽造することはできませんが、ビットコインからコードをコピーしてアルトコインなどの類似コインや改良版のようなものの開発を試みることは可能です。
3.ビットコインはプログラマブル
物質のゴールドとは違ってビットコインはプログラミングによって新しい機能、例えばより早く安くビットコインを送金できるライトニングネットワークなどの技術開発が行われ進化し続けています。またマイニングに参加するマイナーが合意すればプログラムに変更が加えられることもあります。
4.歴史
当然ながら歴史の重みには大きい違いがあります。
ビットコインの歴史はわずか 10 年ちょっとであるものの、ゴールドの歴史は紀元前 6000 年まで遡り、その頃から人類はゴールドを希少なものとして扱っていたと言われます。現代では年金基金や中央銀行もゴールドを保有していますが、それはゴールドの歴史があってこそです。
ビットコインはデジタルゴールドなのか?
ビットコインがデジタルゴールドであるかどうかは、同意する人も否定する人もいて、議論があるトピックですが、このように両者を比べてみると、似ている性質があることは間違いないでしょう。
今後ビットコインが普及し、さらにアセットとして信頼を積み重ねたときに、実際に伝統的な金融機関からゴールドに近い扱いをされるかが注目されます。
アカウントの作成はこちらから。ログインはこちらから。
注意事項(よくお読みください)
本資料は株式会社 bitFlyer 及び関係する業界に関する参考情報の提供を目的としており、当社が提供するサービスの勧誘を目的としたものではありません。
当社および説明者は、本資料において正確な情報を提供するよう努めておりますが、その完全性・正確性について保証するものではありません。
また、本資料の内容及び発言内容は説明者の個人的見解を含むことがあります。当該内容に基づいて生じた不利益について、当社及び説明者個人は一切の責任を負いません。